2008年6月7日、第10回通学路の安全を考えるシンポジウムの模様をお伝えします

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基調提案

第10回通学路の安全を考えるシンポジウム「基調」

2008年6月7日  基調提案  船越 有紀子(豊島小)

1999年の秋、日教組は大阪城公園内にある教育塔に合葬されている子どもたちの過去10年の死亡原因を調べたところ、その4割が通学途上の事故だったことを明らかにしました.
折しも当時の毎日新聞は紙面で「子どもの命を守れ!−通学路安全キャンペイン」に取り組み、その中心となっていた社会部の磯崎由美記者の話を聞く機会がありました。

『信号を守ろう』という、歩行者への注意喚起に終始してきたのが日本の交通教育。
しかし、信号を守って横断歩道を渡っていた児童が右左折車に巻き込まれて死亡するケ−スが後を絶たない。 児童の反射能力や注意力には限界があり、安全教育だけでは命を守れない。また信号や道路の物理的構造そのものに起因する事故が多発している。

「国の交通安全施策の転換をせまりたい」と話す磯崎記者の話に触れ、道路構造や施設改善の取り組みの重要性を知ることとなりました。 その後私たちは通学路の実態がどうなっているのか、小学校毎の安全実態調査に取り組みました。
2000年11月にはじめた調査から、各校様々な事故例や改善すべき問題点等が明らかとなりましたが、多くの学校で指摘された問題は以下の3点に集約されました。

@通学路が抜け道になっていること
A違法駐車が多く、それによって重傷事故が発生していること
B分離信号に換えるべき信号交差点が通学路にあること

調査によってそのような実態が明らかとなり、分離信号の設置や違法駐車等の問題をより広く市民とともに考えていこうと、この「通学路の安全を考えるシンポジウム」を開催していくことになりました。
会場は第2回シンポジウム以後、毎回小学校の体育館を利用。これは通学路の安全の課題は、地域の課題であり、そこに生活している人たちとともに考えていくことが、問題解決につながると考えたからです。
第1回シンポジウムでは、通学途中の小学校5年生の長男を交通事故で亡くした東京八王子市の長谷智喜さんが「子どもの命を守る分離信号」と題して講演。 長谷さんは、「息子は青信号に裏切られた。交通ル−ルを守って命を落とす理不尽な事故を防ぐことこそ交通安全のあるべき姿だ」と話され、交差点を通る歩行者と車両の通行を分ける分離信号設置の必要性を強く訴えました。
被害者や、その家族のみなさんの無念の思いを受けとめようと、以後、交通死被害者遺族の方に毎回講演をお願いしてきました。
特に歩車分離信号の設置については市内26箇所の設置要望地点をパンフレットにまとめ公表し、警察や行政にその設置を訴えてきました。

交通事故を減少させ、命を守る交通政策の推進の観点から今後も一層の増設を求め、運動を進めたいと考えています。 そして全国的にも分離信号が当たり前となることをめざしたいと考えています。
調査結果に示された違法駐車や抜け道等の問題については、ドライバーのモラルの向上によって解決されてしかるべきですが、未だ解決される状況にはありません。今後も交通事故被害者、子ども、高齢者、障害者など配慮の必要な人たちの側から問題提起を受けとめ、これまで以上に幅広い運動を進めていく必要があると思います。 身近な問題を放置しないで、信号、車道、歩道、歩道橋、スロ−プなど構造上、安全に配慮して改善できる部分を具体的に掘り起こしていくことが必要ではないでしょうか。
また、他の地域でも通学路の安全確保のために、さまざまな取り組みをすすめていただくことを最後にお願いし、第10回通学路の安全を考えるシンポジウムの基調報告とします

命と安全を守る歩車分離信号普及全国連絡会

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